マンキ!


マンキ! マンガを完成させるチカラをつける (Comickersテクニックブック)

マンキ! 漫画の基本 (美術出版社)

―マンガを完成させるチカラをつける―

著者  菅野 博之 先生

 

なんか よくよく見てみると紹介してる本が
10年以上 前の本が多い気がする ( ̄∇ ̄;) (気のせいではない)
ので 今回は 今年 出たばかりの本を紹介します
d(^▽^)

 

著者は 快描教室プラス(+) の 菅野 博之 先生
まぁ 本のアオリが「菅野 博之のマンガ技法書シリーズ 第四弾
となってるのを 見て分かるように
美術出版社 シリーズ本の 4冊目です

本当は 「漫々快々」と「漫画のスキマ」を先に紹介しようと
思ってたのですが この本が ちょうど出たばっかりなので
こちらを先に紹介します

この本も 快描教室プラス(+)と同じく コミッカーズ(季刊)
に連載されてたものに 加筆修正したものになります

今までのシリーズが どちらかと言うと
漫画の作画技術や画面構成をメインとしたものだったのに対して
今回の「マンキ!」は 基本的な 物語の構造や設定 演出 キャラクター作り
そして 漫画を描く心構え等を メインとした技法書になっています

 

 

漫画を描いていて 描きたいものはあるのだけれど 話が
いまいち面白くない まとまってない キャラが立ってない等
物語の面で 悩んでる人向けの本です

なので 描きたいものが いっぱいあって もうバンバン作品を描いてる
という人には それほど必要ないかもしんない ( ̄ω ̄;)

ネームを切ってみて 読み返して どーもイマイチな感じなんだけど
どこが悪いのかが 分からない
でも相談できる担当編集が いるでなし 的確なアドバイスが出来る
友人も居ないし どーしたもんか と悩んでる人には
オススメの一冊です
(=^・ω・^=)ノ

 

物語の構造や キャラクター設定については 多くの初心者が
なんとなく面白い という感覚的なもので作品を作り上げる
パターンが多いので なぜ その物語が こうである
必要があるのか という理論的な説明を自分で出来ない
ことが ままあるのですが

この本を読めば 大まかな ウケる物語の構造と構成が
基本的な部分ではあるのですが 理解できると思います

ただ 当然コレを読んだからって 面白い作品が一本
サクッと作れるわけではないので 一応念のため (^^;

 

この「マンキ!」全体の作りとしては 漫画を描きたいけれど
まだ一本の作品としてちゃんと 完成させられない主人公の少年と
それに対して つっこみ と 説明 と 虐待?(コラ)をしてくれる
漫画博士こと 博士(まんまだ)の掛け合い漫画がページの上半分
そして下半分が それぞれのステップの解説文という構成になってます

 

ただ上半分の漫画部分が 意図してのものかと思いますが コマがないので
慣れないと 少々読みづらいです 矢印で漫画の流れを説明してはいるのですが
順番を把握するのに しばらくかかります (=w=;)

これを見てると漫画のコマ割りの重要性と ありがたさが よくわかると思います(-_-;)

 

 

― で まず ステップ1 では漫画を描く道具について
わりと簡潔に説明してありますが
しょっぱなから 「いやー道具の話ですよ 今更…」
「だいたい…もう 皆デジタルで pixiv で TINAMIで ニコ静ですよ」
と 身も蓋もないつっこみを 少年 自ら言ってます
そして博士にタコ殴りにされるという 基本の流れも同時に説明されます(^^;

 

そして ステップ2の 「ネタをまとめる」からが
この「マンキ!」の本編といえます
やりたいことは いっぱいあるのに お話を思いつかないよー!!
という初心者が まずぶつかる ホントに基礎的な部分から
解説されてます

1 メモにして書きだそう

…まず 描きたいと思うモノを紙に書き出しましょう

2 ネタとして発展させよう

…次に自分が書きだしたメモの要素を検討してみます

3 ネタから分かること

4 ネタの優先順位

5 ネタをさらにふくらませる…

― 等 漫画を一本の作品として完成させるための
ネタ出しから そのネタのどこを 優先してつかうべきかという
物語創りにおいて 非常に基本的な部分なのですが
あまりに基本的すぎて 意外と説明されることが
少ない部分を きっちり解説してくれています

なんとなーく ネタを思いついて なんとなーく話を作ってる
という人には 逆に眼から鱗かもしれないです

 

そして

◯ オリジナリティってなんだ?

◯ オリジナリティの 作り方・出し方

◯ ネタかぶりとパクリ

◯ 著作権が守っているもの

― 等 これまた 他の漫画技術書では 比較的 語られることが
少なかった 部分にまでつっこんで解説されてます

 

さらに

◯ キャラクターを掘り下げる

◯ お話がまとまらないのは何でだろう

◯ 彼女は「主人公」?それとも「ヒロイン」?

◯ キャラの属性・設定が活躍の舞台を生む

◯ キャラクターロールについて

◯ 物語の構造を分析する

― 等々 キャラクター設定や 物語を作る上での基礎的な部分から
応用まで かなり事細く わかりやすい構成になってます

特に 物語の構造については この手の漫画技法書ではお約束の
桃太郎」を例にとって説明がなされています

ただ 他の技法書と違い 桃太郎の物語をかなり分解
解析したうえで その物語構造を どのように応用すれば
元ネタが何か?ということを読者に気付かせずに
新しい物語として 再構築できるか という部分を
専門学校の生徒さんの作例など いくつかのパターンを
例に上げて分かりやすく説明してあるので
物語を作る上で かなり参考になるはずです
(生徒さんの 作例の元ネタは 浦島太郎ですが)

ステップ4では コマ割り等の画面構成の説明もなされてますが
全体としては キャラ作り 物語の作り方に説明の大半がなされています

 

というか この本の主人公の少年が描きたいという
巨乳 ロリメイド 天然  眼鏡  委員長  ロボ  ツンデレ 猫耳 少女キャラ
(萌えネタを詰め込みすぎてて 逆にすごい)
に 対するひたすらな情熱
物語を創る上での 理論やテクニックよりも
そっちの情熱のほうが よほど重要な気がします

 

ステップ1 の道具の説明の最後に
最も大事な道具!それは 己自身じゃ
漫画を描きたい その気持ちこそが 最も尊いのじゃ!!
と 博士が語っているように

まず 描きたいという情熱がなければ どれほどテクニックを
手に入れたところで 意味が無いので
その辺は 気をつけたいものです 自分も ○| ̄|_

と同時に
「ただ紙に思いをぶつけても 無秩序で他人に意味の伝わらない
それどころか 自分でも何が何だか分からない
カオスな絵のカタマリが できるだけでしょう」とも書いてあり

自分が思いついた面白いキャラクターや 物語を
いかに 読者に分かりやすく伝えるか それがいかに重要かが
この本を読めば わかると思います

「そんなときに自分を支えてくれるのがネタ帳です!
自分のやりたいこと 描きたいことをハッキリさせるためにも
ネタ帳は ちゃんと作るようにしましょう」と
漫画における ネタの重要性も解説されてます

 

 

そして 「プロになるために 大切なのは?」という項目で
「失敗しろよ」と
失敗を恐れるのは 成功への一番の遠回り」と
失敗の重要性が 語られています

「完成品 1作目でプロデビューというのは 誰しも一度は見る夢だけれど
それが出来るのは一部の天才だけで 1作目でダメ出しを受けたら
自分は天才ではないと諦めて 努力をしましょう」

発表されない作品や 失敗作を描くことを嫌がってはいけません
マンガを描かずに 絵だけを描いても マンガは上手くならない

ダメと分かっていても最後まで描く!そして死ぬほど後悔する! 
その後悔に負けなかった人が プロになれる

など
まったく あたりまえっちゃ あたりまえのことなんですが
初心者にとっては 耳が痛いことが書かれています  <(-_-;)>

 

最後に
「理論や技法も 読み手がマンガを読み解く際には有効ですが
描き手がそれにこだわって構成すると
逆に表現力を狭まるところがあります
理論や技法があって マンガが あるんじゃない 
それらは マンガを描くための 補助でしかないんです

とにかくマンガの最大の練習方法は マンガを描くことです
それも たとえ下手でも ちゃんと完成させること
『もっと実力がついてから…』なんて考えていてはダメ
手を動かさずに 伸びるマンガの実力なんでありません!

― と これまた 当たり前なのですが 意外に失念してしまいがちな
そして ホントに重要なことが 書かれています

 

ホント―に 自分も肝に銘じたいです  orz

 

結局 結論はこの本以外でも よく言われることですが
漫画を描け!」の一言に尽きるわけですが
(・`ω´・)

 

 

この「マンキ!」以前の三冊に比べると 初心者向けに
分かりやすく書いてある本ではあるのですが

どちらかというと すでに漫画を投稿し始めてる
上級者向けの本かもしれません

まだ オリジナルの漫画作品を一本も描いたことがないという人には
読んでも いまいち説明してあることが 理解しづらいかもしれないです

漫画を描くための道具や 基本的な作画の技術方面を求めてる人は
コレより前の「快描教室プラス(+)」 「漫々快々」  「漫画のスキマ
3冊を まず求めたほうが いいと思います

最初に書いたように まず描きたいモノを ガンガン描いて
そして 物語を作る難しさを実感した後に 読んだほうが
いいかも

 

ただ きちんとこの本を 読み込んで理解できれば
作品のレベルを もうワンステップ上げることができるであろう一冊です
ヽ(´∀`)ノ

 

 

著者紹介

菅野 博之 先生   (以前は菅野 博士)

代表作『ぱらいそロード』『天晴れカッポーレ』 『亜州黄龍伝奇』(原作: 狩野あざみ 先生)
『ミューターント・タートルズ外伝』 『東京事件』( 原作:大塚英志 氏 )

『快描教室:マンガの悩みを一刀両断!!』     (共著・唐沢よしこ 氏)(美術出版社)
『漫々快々:みんなのマンガがもっとよくなる』  (共著・唐沢よしこ 氏)(美術出版社)
『漫画のスキマ:マンガのツボがここにある!』        (美術出版社)
『マンキ! 漫画の基本:マンガを完成させるチカラをつける』 (美術出版社)
『ComicStudioで学ぶ新世紀マンガ技法』      (ソフトバンククリエイティブ)

 

アニメ OVAの『フォトン』 TVアニメの『地球防衛企業ダイ・ガード』キャラ原案(漫画版も)など

神戸芸術工科大学まんが表現学科准教授
東放学園映画専門学校小説・マンガ創作科講師

 

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