良い祖母と孫の話


良い祖母と孫の話 (エッジスタコミックス)

良い祖母と孫の話  (小学館クリエイティブ)(エッジスタコミックス)(電子書籍版は 双葉社)

 

著者 加藤 片 (かとう かた)先生

注(微妙にネタバレあり…かも)

 

サルでも描ける まんが教室」や「ファミ通のアレ(課題)」の原作者で編集家の
竹熊健太郎 先生が編集長をしている
電脳マヴォ」で発表されるや ウェブ上で注目を集め合計2000万PVをはじき出し
(オリジナル版はpixivで発表)
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最終話でも大きな反響があった 加藤 片 先生の作品が遂にコミック化!
(主婦の友社のweb雑誌「コミカワ」にも掲載されてました)

紙の本は 小学館クリエイティブ で出版され
電子書籍は 双葉社 で販売という少し面白い販売形態をとっています
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作品内容については

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高校生の主人公 しょう子の家に一人暮らしだった祖母が
同居することになったのだが
父子家庭のため 好き嫌いが多く手作りの料理が苦手だった
しょう子は いい子を演じ続けるために祖母の作ってくれた
お弁当を毎日学校のトイレに捨て続けてしまう
だが ある日そのことが祖母にバレてしまい
その出来事を発端に家族の関係が少しづつ崩れ始めてゆく…

気が弱く他人に気をつかいすぎてしまうため
思ったことが言えない自分の性格に悩む
しょう子の成長物語であると同時に

これから先 社会でどんどん増えていくであろう
(既に結構な問題になってる気もしますが)
老人の痴呆や介護という なかなか重い問題をテーマにしていて

特に祖父母に不義理をしてしまった経験がある人や
介護経験がある人にとっては かなり痛い話になってます
○| ̄|_
.

 

とはいえ よくある問題提起的な物語とも少し違っていて

既に あちらこちらで感想が書かれているので
今更感があるのですが 単純に泣ける系の漫画じゃないの?と
思った人にこそ読んでほしい作品です いや
もちろん泣けるんですけどね 破壊力抜群なんですけどね
.

ちなみにラストのシーンの あれは よく読んだら実は
多くの読者が思ってる それと違い
多分偶然の出来事だったりなんですが…
(まぁ どちらとも とれる作りになってるんですが)

それでも 偶然であっても それが救いとなることがある
それは介護の現場でも実際にある事なのだろうけれど
それで報われることも多々あるのだろうと感じます

 

 

ところで作者の 加藤 片 先生なんですが
専業の漫画家ではなく別に職業をもっている
いわゆる兼業漫画家で このコミック一冊分(全4話)を
完成させるのに竹熊先生とネームのやりとりをしつつ
約3年ほどかかったそうで(オリジナル版からだと4年)

このレベルの漫画を描ける人が専業ではなく兼業を選んで
作品を発表するというのも少々驚きではあります
 

竹熊先生がブログのコメントやTwitter等で書かれてるように
短編を得意とする漫画家さんがデビューしづらいという部分もあるのでしょうが
だからこそネームを練り上げ
この完成度で発表出来たという面もあると思います
 

もちろん今までも兼業のプロ作家さんは結構いましたし
(田中圭一  先生や 島本和彦 先生など)
別の仕事をしながら コミティア等で 趣味に近い形で漫画等の作品を
発表している作家さんも大勢いますが そういう作家さんとプロの
作家さんの垣根が さらに曖昧になって
このような兼業を行いつつ作品をweb上で発表する作家さんが
今以上に増えていくのは間違いないでしょう

 

同時に専業の漫画家になりづらい(続けづらい)
状況とも言えますが…
(それは昔からそうか…)( ̄ω ̄;)

 

 

さらに今回のコミック化で特殊な(面白い)点は

web上で反響があった後 電脳マヴォ
竹熊先生の元に出版社5社からコミック化のオファーがあり
竹熊先生が現在 電脳マヴォで行っている作家側の利益を最優先とする
作家エージェント制によって
その中から条件が最も良かった1社をコンペで選んで
書籍化まで こぎつけたという点で

(次に条件が良かった双葉社を電子書籍版に選んだそうです)

紙の本が売れない時代と言われていても
やはり面白い作品 良い作品は時間がかかっても
書籍化される可能性が高いし
読者が放っておかないのだと思います

一緒に収録されてる短編二作品「わたしのカワイイともだち」と
せっかちな少年と絵描きの話」も良いですし

紙媒体と電子書籍が別の出版社という部分が注目を集めてるけれど
やはり紙の本がお勧めです このまま本の売れゆきが良くて
重版されると良いのですが…正直なところ今 紙の本は 本屋に並んでても
いつまでも手に入るとは言えない状況なので

欲しいと思った人は是非 早めに手に入れるよう お勧めします!
巻末の作者紹介漫画も…なかなか…衝撃的だったり… ( ̄∇ ̄;)

(ただし電子書籍版にはpixivで最初に発表されたオリジナル版がつくそうです)

ちょっと試し読みしてみたい方は 一話目が 電脳マヴォで読めるので
続きが気になった方は是非!ヽ(´∀`)ノ

あと 加藤先生の短編アニメーション作品「白線のすきま」や
他の短編作品も電脳マヴォに掲載されているので興味がわいた方は そちらの作品も是非!

 

 

…でも本の帯のコピーは…もうちょっとこう…どうにか…
いやwebでの評判を知らない人が本屋でこの作品を
手に取ってくれたら それで良いのですが…(^^;

 

 

(一応 牛帝 先生の「同人王」 ムライ 先生の「砂海の娘 CAT IN THE CAR
相澤亮 先生の 「雪ノ女」に続く
電脳マヴォ 書籍化第4弾目の作品?…になると思うのですが…
なんというか様々な諸事情により 第一弾の同人王が
ちょっと微妙な位置づけになってる気がしないでも… (^^; )

 

電脳マヴォ での作品紹介ページ
http://mavo.takekuma.jp/sobomago/index.html

 

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