バクマン。 (中編)


バクマン。 カラー版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

バクマン。 

著者  原作 大場つぐみ 先生   作画 小畑健 先生

『週刊少年ジャンプ』(集英社) 全20巻

BAKUMAN (中編)
・・・中編?! (゚Д゚;;)

(※ 注意 あらすじ紹介に ネタバレ有り)

 

 

─ 年末の連載会議までに 新妻エイジの「クロウ」よりも
面白い作品のネームを提出し
それが不採用だったらジャンプでは もう描かないという
無茶苦茶な条件で「走れ!大発タント」を終了させてもらい
新しい連載作品のアイディアを練る
サイコー と シュージン…

 

年末まで連載会議にネームを出すチャンスが 3回しか無いにも関わらず
過去に読み切りで描いた「この世は金と知恵」の焼き直し作品
この世はKTM」(この世は 金 知恵 見た目)のネーム

そして次に 出した 王道ファンタジー「STOPPER  OF  MAGMA(ストッパー オブ マグマ)」
のネームが立て続けに2作品とも 没という
ある意味 お約束な展開で窮地に立たされる 亜城木夢叶ですが

 

実は それは 港浦さんにアドバイスをしていた 服部さんの作戦という事実を知り
さらに服部さんの 亜城木夢叶にしかできない
シリアスな笑い」というアドバイスにより
新たなアイディアの きっかけを掴むも

具体的な設定まで たどりつけないシュージンは
サイコーと一緒に服部さんを一日 尾行するという
探偵の真似事のような妙な行動に出る

そして それによって
これまでに無い 新しい漫画「PCP 完全犯罪党」(当初のタイトルは「完全犯罪クラブ」)
のアイディアを思い つく

PCP―完全犯罪党― 孤島の子供たち (ジャンプジェイブックスDIGITAL)

~という
この アイディアを思いつくまでの一連の流れは
一見 漫画っぽい話のようにも感じますが

実際 新しいアイディアというものは
机の前で うんうん考えて絞りだすことよりも
こういった自分自身の経験や 実生活で体験し
そこで感じたものから思いつくことが多いという
かなり重要なエピソードが語られます

 

締め切りギリギリで完成したネームは編集部内でも好評で
そのまま連載になるかと思いきや

編集会議で「新妻エイジのクロウより も面白い作品」という条件を満たしているか?
という編集長の鶴の一声により会議はまとまらず
結果採用するかどうかを 班長の多数決で決定するという
これまた無茶な展開になっていきます

Σ( ̄Д ̄;)

まぁ当然というか最終的に ネームは採用され連載が決定するわけですが
少年漫画的に ハラハラさせる展開にするためとはいえ
さすがに この編集会議の一連の流れは 微妙ーな感じが・・・
(-_-;)

 

 

もっとも 編集長が自分の趣味じゃないからという
それだけの理由で作品が没にされた という話も珍しくないので
アオイホノオで もあったけど)
採用か没か これだけちゃんと話し合ってくれるだけ
まだマシ… とも言えますが
(^^;

 

さらに ここに来て服部さんが 亜城木夢叶 の担当に戻ってきて
めでたし めでたし かと思いきや

半年以内に 新妻エイジに勝てる作品にならなければ
打ち切りという 新たな条件を編集長に出され
(最初は服部さんのみに知らされる)

作品ののタイトル キャラクターのデザインや名前 アイテム等
可能な限り読者にウケる方法論を模索していくシュージンとサイコー

とにかく この話の前後で描かれる 作品のアイディアを生み出す苦しみは
一見 地味なものの この物語の非常に重要な部分です

特に「シリアスな笑い」や
読者へのアプローチの方法 そして作品への考え方などのスタンスは
バクマン。という漫画そのものの方法論でもあるわけで

実際にマンガの中で
これらのアイディアを活用してるという二重構造にもなってるわけです

 

そして「PCP」連載第一話で 初めて週刊少年ジャンプ のアンケート一位をとる2人
サイコーが そのアンケート表を 亡くなった叔父 川口たろう(真城 信弘)の
墓前へ報告に行くシーンは
かなりの感動ものです
(ノД`)

ただ このシーン 原作とアニメで微妙に違ってて
アニメでは 川口たろう が目の前に現れてサイコーと会話するシーンがあるのですが
原作漫画では そういったシーンは まったく無いので
漫画では表現として逆に あざとすぎるために あえて
やらなかったのではないか?と思われます

個人的には 多少あざとくても アニメのシーンのほうが好きです
まぁ アニメは ここが二期のラストシーンだったというのもありますが

 

さらに ここに来て
岩瀬 (岩瀬 愛子)原作のプラスナチュラルのアニメ化の話や

その声優に亜豆が採用されそうになり
サイコーが アフレコのスタジオから 亜豆を連れだすなど

思い出したように サイコーと亜豆の恋愛話が挟まれたりします

 

ですが この物語の中盤 何より注目すべきは この後に登場する
他のライバル達とは違う ヒール的な位置のキャラ
七峰 透 です

 

表と裏の顔を使い分け 新人の担当編集 小杉 達朗 を翻弄し
ネットの活用によって 人気をも手に入れようとする

ある意味 現代的なアイテムを活用する 新人漫画家とも言えるのですが
まぁ 実際の話どう考えても こんな無茶苦茶なことが出来る新人漫画家が居るはずもなく
(別な意味で無茶する 漫画家さんは居ますが)

どちらかと言うとこの 七峰透というキャラ
逆説的に 編集サイドを非難するキャラに思えてなりません

 

ぶっちゃけ 七峰透と 小杉さんの 関係って逆パターンだったら
腐るほど よくある パターンなので
( ̄  ̄;)

 

もちろん漫画家であれ編集であれ 人間である以上 ちゃんとした人も
ろくでもない人も 一定数居るのは当然なのですが

漫画業界の場合 力関係で言うと 編集サイドが圧倒的に上に位置するため
慇懃無礼な態度をとる編集さんというのは 酷く目立つし 漫画家の記憶に残るものの

さすがに それを そのまま漫画にすると角が立つために
逆にこの七峰透というキャラで 遠回しに編集批判を描いているのでは?
という気がします

まぁ 漫画家さんも 新人ベテラン含め 困った人はキッチリ居るわけですが
(とはいえ最近は さすがに昔ほど酷い対応をする編集さんは少なくなってるらしいです)

 

 

さらに この七峰透 ジャンプで賞をとったものの掲載されなかった自分の漫画
シンジツの教室」を わざとネット上にUPし
注目を集め 自分の作品を連載に持っていこうとしたり

さらには ネット内の見ず知らずの人間達に 連載漫画の話を
作ってもらったりと どう考えても そりゃ破綻するだろという
問題行動を 意図的に起こすわけですが

これらの 手段は当然 やってはダメなものの
同時に これから先 漫画もネットへの比重が
ドンドン高まってゆくことは間違いないわけで

正直これくらい あざとい自己プレゼンというか
売り込みをかけないと 生き残れないのではないか?という気はします

 

 

なにより後半 七峰透 の再登場で 自分で会社を立ち上げて 面白い漫画を組織で作るという
シンジツコーポレーションも当然 コスト的に ありえない方法ですが

構造的には違うものの 映画のような組織的な仕組みで漫画を作ろうという試みは
それこそ 赤塚不二夫 先生や さいとう・たかを 先生などが
かなり昔から すでにやっている手法なので

ネットが一般社会に浸透した今 これに近いシステムをネット上で構築して
漫画を描こうという人や集団が 現れても おかしくない時期にきてるのかもしれません
(既に やってる作家さんが いるかもですが)

というか 古い漫画家を使い捨てにしてると ジャンプ編集者の間でも
七峰透の作った シンジツコーポレーションの やり方に 憤ってましたが

・・・それ 漫画編集者が 普通に普段やってる業務だよね?!
と ツッコミを入れたくなった漫画家さんは 多数いると思われます
( ̄∇ ̄;)

 

さらに この中盤あたりから 漫画家の道を諦め田舎に帰っていた
中井さん(中井 巧朗) が 七峰透のアシスタントとして舞い戻ってきた挙句
クビになり さらに転落していく様や

逆に いやいや漫画を描きながらも 連載作品「ラッコ11号」はアニメ化し
連載終了後も かなり早い段階で 新たな新連載「僕には通じない」を獲得し
(最初の読み切りの時は「君に届かず」)
さらに片想いしていた 蒼樹 紅 とも良い仲になっていく
平丸さん(平丸 一也)など

ラッコ11号 番貝編 闘え!平帆水産株式会社第一宣伝部部長 (JUMP j BOOKS)

 

マンガ業界の浮き沈みや 光と影ともいうべき
厳しい現実も描かれます

(つっても 中井さんの場合 かなり自業自得な気がしますが)
(=w=;)

とはいえ 中盤から もう一人の主人公状態という感じで
活躍?する 平丸さん と 担当の吉田氏(吉田 幸司)

 

どう考えても この2人 一昔前 昭和30~50年ごろの
編集と漫画家の関係で
締め切り前に逃走した漫画家を 担当が発見し連れ帰るという

今どき ここまでしてくれる担当編集なんていねーよ!と
これまた ツッコミ入れた漫画家さんも多いと思われます

この2人の話は 亜城木夢叶と服部さんとは また違った形の
作家さんと編集の友情物語なので 非常に好きなのですが…

その漫画家が辞めると 雑誌の売上に 恐ろしく影響を与えるレベルの
人気トップの漫画家なら いざしらず

今日び ここまで担当から 逃げまわってた日にゃ
確実に打ち切られるので

この 平丸さん の一連のエピソードは
本気にしないよう 気をつけてください
まぁ 本気にする人いないとは思うけど
( ̄∇ ̄;)

(とはいえ 平丸さん ぎっくり腰の時と ぎっくり腰だと仮病を使った時
サイコーが入院したときに連載再開の抗議に便乗してボイコットした時以外は
原稿を落として無いのが 逆に凄いとも言えますが)

ラッコ11号 圏貝編 もしも! 平帆水産株式会社第一宣伝部部長じゃなかったら (JUMP j BOOKS)


そして
アシスタントだった白鳥くんの連載漫画の原作をシュージンが書くことに
なってしまったために
一時的に サイコーとシュージンの仲が危うくなったり

PCPの模倣事件などで
PCPによるアニメ化の可能性が無くなってしまったりと

幾つもの試練ともいえる経験を重ねた結果
ついに アニメ化も狙える邪道ではない王道漫画を描こうと
新たな連載漫画を始めるべく アイディアを練る2人ですが・・・

(後編に続く)

<(-_-;)>

 

 

 

作者紹介

大場 つぐみ(おおば つぐみ)先生

代表作

DEATH NOTE  (全12巻 作画 小畑健 先生)

バクマン。      (全20巻 作画 小畑健 先生)

スキップ!山田くん (読切作画 ろびこ 先生)

(実は中の人は ガモウひろし 先生 説が有力だが 詳細不明(お約束))

 

 

小畑 健(おばた たけし)先生

代表作

CYBORG じいちゃんG  (連載時は 土方茂 名義)

魔神冒険譚 (アラビアン) ランプ・ランプ (原作 泉藤進 先生)

力人伝説 -鬼を継ぐもの- (原作 宮崎まさる 先生   企画協力 光商会)

人形草紙あやつり左近         (原作 写楽麿 先生)

ヒカルの碁         (原作 ほったゆみ 先生  監修 梅沢由香里 氏)

DEATH NOTE      (原作 大場つぐみ 先生)

BLUE DRAGON ラルΩグラド  (原作 鷹野常雄 先生)

バクマン。          (原作 大場つぐみ 先生)

All You Need Is Kill  (原作 桜坂洋 先生)
(キャラクター原案  安倍吉俊 先生  構成 竹内良輔 氏)

 

 

 

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